陽子線治療とは

陽子線治療は新しい放射線治療のひとつです。陽子線とは粒子線の一種で、通常の放射線治療で用いるX線と異なり、からだの中をある程度進んだあと、急激に高いエネルギーを周囲にあたえそこで消滅するという性質を持っています。この性質により病変部周囲のみに高いエネルギーを与えることができ、病変より奥の正常組織を守ることが可能です。X線と比べると、病変部に同じ線量を投与する場合は正常組織の線量が低下することから副作用の減少を期待でき、正常組織に同じ線量まで投与する場合は病変部に高い線量を投与できることから高い効果を期待できます。例えば肺腫瘍に対する放射線治療の場合、X線であれば病変部以外に肺や心臓に不必要に放射線があたりますが(図1)、陽子線治療の場合、大幅に減少します(図2)。


図1


図2

 

陽子線治療は、1960年代より目の奥(脈絡膜)のメラノーマの治療に用いられ始め高い効果を示し、メラノーマの治療では長い歴史があります(脈絡膜の場合、更に特殊な機器が必要なことから別の施設にご紹介いたします)。

津山中央病院は岡山大学と共同運用で、「岡山大学・津山中央病院共同運用 / がん陽子線治療センター」を津山中央病院の敷地内に開設し、平成28年4より治療を開始、同年7月より先進医療で治療を開始しています。

先進医療の医療費は、全てが公的保険でカバーされておらず陽子線治療の技術料として288.3万円(津山中央病院の場合)の自己負担が必要で、その他の入院・薬剤・検査等は保険が適応される仕組みです。平成28年4月に小児腫瘍、平成30年4月に頭頸部がん・骨軟部腫瘍・前立腺がんに公的保険が適応となりました(いずれの病気でも保険適応の条件があります)。転移のない頭頸部の(例えば、鼻や頬の奥にある)メラノーマに対しては保険を使用して陽子線治療が可能です。残念ですが、皮膚にあるメラノーマは先進医療としては陽子線治療を行うことができません。肺・肝臓・リンパ節など個数の限られた転移に対して、先進医療として陽子線治療は大きな威力を発揮します。

津山中央病院は中四国地方では初の陽子線治療施設であり、集学的治療(抗がん剤、手術、放射線治療等を組み合わせた治療)を行うことができる病院です。がん以外の病気をお持ちの方は多いですし、がん治療中に脳や心臓に救急対応が必要な疾患を発症することもあります。これらがん以外の病気への救急対応も可能な総合病院としては福井以西の西日本で初の陽子線治療施設となります(図3)。


図3

 

津山中央病院にはブロードビーム法から次世代のスポットスキャニング法までを1台で行うことのできる新しい陽子線治療機器が設置されます(図4)。


図4

 

「岡山大学・津山中央病院共同運用 / がん陽子線治療センター」の詳細はhttp://top.tch.or.jp/index.htmlもご参照下さい。

岡山大学病院では平成28年1月から「放射線治療・陽子線治療外来」を開設し外来診療を行っております。主治医、当院の各科・センターの専門家と協力して、陽子線治療の適応判断、治療前の準備のサポートや津山中央病院の紹介を行なっています。陽子線治療だけではなく、メラノーマの転移に用いられるX線による放射線治療も行っています。

当科へのご紹介は地域医療連携室にご連絡いただければと存じます。津山中央病院にも「陽子線治療外来」を開設しておりますので、予約いただいて受診されることも可能です。主治医の先生よりご紹介頂くようになりますので、まずは主治医の先生とご相談下さい。なお、患者様から直接のご相談は、津山中央病院「陽子線治療外来」0868-21-8150にお願い致します。